羊祜1  その死を悼むには

文字数 721文字

書聖王羲之(おうぎし)の息子、王献之(おうけんし)
同僚の王恭(おうきょう)に向け、言う。

羊祜(ようこ)の死後、
 多くの人が嘆いたって言うじゃん。
 まぁ、それはそれとして
 すごいと思うけどさ。

 けど、自分には関係のない話かな。

 個人的には、やっぱり曹操(そうそう)
 自分の死後、定期的に
 妾と妓女を銅雀台で舞わせた、
 ってエピソードの方がすごいと思うな」



王子敬語王孝伯曰:「羊叔子自復佳耳,然亦何與人事?故不如銅雀臺上妓。」

王子敬は王孝伯に語りて曰く:「羊叔子は自ら復た耳に佳かりせど、然して亦た何ぞ人の事ならんや? 故より銅雀臺の上の妓に如かず」と。

(言語86)



羊祜
西晋の名将、と聞かれて真っ先に出てくるのはこの人の名前だろう。呉討伐に当たって、陸抗(りくこう)と戦いつつお互いをリスペクトし合ったという。けど結局この人は呉の滅亡を見る事なく死亡。なお政治家としても非凡であり、その死に際して多くの人が嘆き悲しんだと伝わっている。これだけの人だから、一族は当然のように後々の西晋政局に絡みまくってる。

王献之
王羲之(おうぎし)の七男。王羲之とともにこの時代の書家としてはトップ。にしてもこれ、南朝貴族の放埓さのイメージの転嫁、と見るべきかな。政治手腕的にリスペクトされるより、どれだけ女の人にモテたかの方が重要、みたいな。だとしたら、とても生臭くて良い。が、なんとなくもうちょい掘れそうな気もするんだよなー。

王恭
同じ苗字だが王献之とは系統が違う。劉裕(りゅうゆう)の上司である劉牢之(りゅうろうし)の元上司。ただし理想主義的なところがあって、その辺りが思いっきり劉牢之とバッティング。最終的には裏切られ、殺されている。そうした政をなすにもやや浮ついていたような要素が、王献之とのこの絡みに現れていそうな気もしている。本人は大真面目だったのがまた救えない。
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