桓温29 酒鑑定職人

文字数 456文字

桓温(かんおん)さまの書記官で、
酒の目利きに長けた人物がいた。

桓温さま、酒を手に入れると、
まず彼に味見をさせる。

すると彼は、
良い酒は「青州(せいしゅう)従事(じゅうじ)です」と、
悪い酒は「平原(へいげん)督郵(とくゆう)です」と言う。

青州には(せい)という郡がある。
これは「(へそ)」にも通じる文字である。
酒の滋味が臍にまで染み渡るため、
こう寓意している。

一方の平原郡には、(かく)県がある。
これは「(かく)」、つまり胸と腹の
境界辺りを指す字に通じる。
つまり、酒が膈の辺りで止まってしまい、
あまり深く染み渡ってこない。

そう言った言葉遊びで、
酒のグレードを語ったのである。



桓公有主簿善別酒。有酒、輒令先嘗、好者謂:「青州從事。」惡者謂:「平原督郵。」青州有齊郡、平原有鬲縣。從事言:「到臍。」督郵言在:「鬲上住。」

桓公に善く酒を別くる主簿有り。酒有らば、輒ち先に嘗めさしむ。好き者を謂えらく「青州從事なり」と、惡しき者を謂えらく「平原督郵なり」と。青州は齊郡を有し、平原は鬲縣を有す。從事は臍に到れるを言し、督郵は鬲上に在りて住むを言す。

(術解9)



この言葉遊びは、うまく運用できると面白そうですなー。
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