謝尚5 謝尚さんの孫たち
文字数 841文字
その代わり娘には恵まれていた。
長女の
次女の
それぞれ嫁いでいる。
あ、殷康さんは
庾和の息子が
殷歆の息子が
完全男系継承なこの時代において、
二人は謝尚の「外孫」と
呼ばれる立場にある。
さてそんな二人であったが、
それほど親しい、と言う訳でもない。
若くして聡明であった殷顗を、
ぜんぜん庾恒は
引き立てようとしなかったらしい。
そんな二人が、
連れ立ってやってくる。
かねてより殷顗の聡明さを
聞き及んでいたか、謝安さま、
じっと殷顗を見ると、言う。
「殷顗くんは、やはり
我がいとこ殿に似ているな」
そう、謝尚さんは謝安さまにとって
いとこに当たるのです。
これにむっと来たのは庾恒。
ひそひそ声で謝安さまに問う。
「あいつがですか?
どの辺りがなのです?」
おいおい、そういやそうだったね。
二人の関係に思いが至ったか、
謝安さま、こう答えた
「顔だよ」
その答えに、まだ納得がいかない庾恒。
さらに、こう返す。
「顔が似ていたら、
立派だと言えるのでしょうかね?」
殷顗、庾恆並是謝鎮西外孫。殷少而率悟,庾每不推。嘗俱詣謝公,謝公熟視殷曰:「阿巢故似鎮西。」於是庾下聲語曰:「定何似?」謝公續復云:「巢頰似鎮西。」庾復云:「頰似,足作健不?」
殷顗、庾恆は並べて是れ謝鎮西が外孫なり。殷は少くして率悟たれど、庾は每に推さず。嘗て俱に謝公に詣でるに、謝公は殷を熟視して曰く:「阿巢は故より鎮西に似たり」と。是に於いて庾は聲を下して語りて曰く:「定めし何ぞ似たらんか?」と。謝公は續けて復た云えらく:「巢が頰は鎮西に似たり」と。庾は復た云えらく:「頰似たるれば、健を作すに足るや不や?」と。
(輕詆27)
うーん燦然たる庾恒さんの小者っぷり。
つーかこういう、系譜をプリインストールしとかないとどうしようもない奴とか、ほんにこっちにケンカ売ってきてて、しゅき。
殺しますよ
ってにこにこしちゃうよね。