王愷1 王愷の殺意
文字数 844文字
あるときそんな王愷から、
劉輿と劉琨、招待を受ける。
まぁまぁ楽しんできなさいよ、んで、
泊まってきなさいよ、とのことである。
王愷の真意なんぞピンと来ない二人、
ほいほいついて行っちまう。
いいのかい……?
二人が眠った頃、王愷、
召使いに穴を掘らせていた。
二人をそこに、
しまっちゃおうとしたのだ。
ところで異変を感じた人がいた。
二人が王愷の家に泊まったと聞き、
夜遅くであったにもかかわらず、
急ぎ車を飛ばし、王愷の家に。
そして二人の所在を問う。
王愷、隠し切れないと悟り、言う。
「奥で眠っているよ」
そこで石崇、寝室に入り、
二人を起こして自らの車に乗せる。
そして、車内で言うのだ。
「小僧ども、言ったでしょ!
知らない人についてっちゃダメって!」
劉璵兄弟少時為王愷所憎,嘗召二人宿,欲默除之。令作阬,阬畢,垂加害矣。石崇素與璵、琨善,聞就愷宿,知當有變,便夜往詣愷,問二劉所在?愷卒迫不得諱,答云:「在後齋中眠。」石便徑入,自牽出,同車而去。語曰:「少年,何以輕就人宿?」
劉璵兄弟は少き時に王愷に憎まる所と為る。嘗て二人を召じ宿し、默かに之を除かんと欲す。令し阬を作さしめ、阬じ畢えるに、害を加うるに垂んとしたり。石崇は素より璵、琨と善く、愷が宿に就きたるを聞き、當に變有らんと知り、便ち夜に往きて愷を詣で、二劉が所在を問う。愷は卒迫として諱を得ず、答えて云えらく:「後齋に在りて眠に中す」と。石は便ち徑ちに入り、自ら牽きて出で、車を同じうし去る。語りて曰く:「少年、何ぞを以て輕々に人が宿に就かんか?」と。
(仇隟2)
王愷の大人げなさとか謎の残虐性とか、異常だな……まあ石崇も気軽に小間使いとか殺しますが、この当時の常識で言えば「木の杖を折る」感覚の動きであり、王愷のように人士レベルをさくっと殺すのとは感覚が違いますよね。それにしてもこんな王愷が八王の乱とか永嘉の乱でひどい目に遭ってないのとか、司馬遷が天を仰いで嘆きそうですよね。