孫綽8  孫綽の口車

文字数 966文字

王述(おうじゅつ)の息子にして王坦之(おうたんし)の弟、王処之(おうしょし)
クソだった。とてもクソだった。
なので誰も嫁に来てもらえなかった。

ところで孫綽(そんしゃく)に娘がいて、
こちらはまたド偏屈だった。
誰も娶ってくれる人がいなかった。

ここで孫綽さん、一計を案じる。
すすす、と王坦之に近づく。
いきなりパパじゃない辺り分かっておる。

王処之と会った後、孫綽さん、
王坦之にこうホラを吹く。

「なかなか悪くないではないか。
 人の評価はアテにならんな、
 なんで今まで結婚できなかったのか、
 不思議なくらいだ。

 ところでうちにも娘がおってな、
 これもなかなか悪くない。

 ただわしは寒門、
 家格的にはそなたと縁戚になるのは
 つり合いが取れんところではある。
 それでも、王処之に
 我が娘はどうか、と思うのだ」

これを聞いた文度(ぶんど)ちゃんは大喜びである。
即パパに言う。

ファャ!!?
パパもびっくり、大喜び。
即結婚の手筈が取られた。

で、王家に孫綽の娘を迎えてみれば。

クソ。
王処之以上に。

ハメられた……!
文度ちゃん、愕然としましたとさ。



王文度弟阿智,惡乃不翅,當年長而無人與婚。孫興公有一女,亦僻錯,又無嫁娶理。因詣文度,求見阿智。既見,便陽言:「此定可,殊不如人所傳,那得至今未有婚處?我有一女,乃不惡,但吾寒士,不宜與卿計,欲令阿智娶之。」文度欣然而啟藍田云:「興公向來,忽言欲與阿智婚。」藍田驚喜。既成婚,女之頑嚚,欲過阿智。方知興公之詐。

王文度が弟の阿智は惡しきの乃ち翅ならざれば、年長じるに當れど人と婚ぜる無し。孫興公に一なる女有り、亦た僻錯にして、又た嫁娶さる理無し。因りて文度を詣で、阿智に見えんと求む。既にして見ゆらば、便ち陽りて言えらく:「此れ定めし可なり、殊に人に傳わる所に如かざれば、那んぞ今に至りて未だ婚ぜる處を得ざること有らんか? 我が一女、乃ち惡しからざれど、但だ吾れ寒士にして、宜しく卿と計りたるべからざるも、阿智をしてこれを娶らしめんと欲す」と。文度は欣然として藍田を啟して云えらく:「興公の向に來たる有り、忽ち阿智と婚ぜるを欲せると言わん」と。藍田は驚喜す。既にして婚成らば、女の頑嚚なるは、阿智に過ぎんと欲す。方にして興公の詐なると知る。

(假譎12)



なんで王述のエピソード、つまんないもんが無いん……? おかしくない? おかしくなくない? いや孫綽お前……ほんとになんてゆうか……。
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