顧愷之5 顧愷之コメント集

文字数 638文字

顧愷之(こがいし)さんと言えば、
そのオモシロコメントも著名である。
ここでは二点あげよう。


顧愷之、サトウキビを食べる時に
多くの人は穂先から
行くのにもかかわらず、
後ろから食べていた。

人々からそれをからかわれると、
「甘みの薄いところからいって、
 やがて佳境に至る。
 それがいいんじゃないか」
と答えている。


建康(けんこう)で爆発的に流行った、
謝安(しゃあん)さまの詩吟スタイル、
洛生詠(らくせいえい)

元々鼻づまり気味だった謝安さまは
素でそのスタイルになっていたが、
他の人がそれをまねるためには、
鼻をつまむなどしなければならない。

そして顧愷之、これが大っ嫌いだった。

なので「洛生詠やんねーの?」と
誰かから聞かれると、こう返す。

「は? なんであんな
 ばばあみたいな歌い方
 しなきゃいけねーの?」



顧長康噉甘蔗,先食尾。問所以,云:「漸至佳境。」
顧長康の甘蔗を噉らいたるに、先に尾を食う。所以を問わば、云えらく:「漸く佳境に至らん」と。
(排調59)

人問顧長康:「何以不作洛生詠?」答曰:「何至作老婢聲!」
人の顧長康に問うらく:「何をか以て洛生詠を作さざるか?」と。答えて曰く:「何ぞ老婢が聲を作したるに至らんか!」と。
(輕詆26)



二個目の方は、裸の王さまみたいな話である。と言うか外見の美しさを評価し合う皆さん、考えてみてくださいよ、「鼻をつまんで歌う」なんてスタイル、滑稽以外の何ものでもないでしょうよ……謝安さまがいまをトキメく方であったから真似をしたい、そこまではわかるんですが、真似することで自分の姿がどうなるかを考えましょうよ……。
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