庾敳3  我卿卿卿君我

文字数 571文字

王衍(おうえん)庾敳(ゆがい)に、交友関係はない。
にもかかわらず庾敳、王衍に対して、
何故か「卿よ、卿よ」と、
微妙になれなれしく呼びかけてくる。

いやいや、無礼だなアンタ。
王衍は言うのだ。

「なぜあなたに
 卿と呼ばれねばならんのだ?」

そう。卿とは同格、あるいは
やや下の相手に向けての二人称。
少なくとも、交友のない相手に
用いるべき言葉ではない。

のだが、庾敳。さらっと言い返す。

「卿はわしをあなた、と呼んでいる。
 わしは卿を卿、と呼んでいる。

 どちらも自発的な呼称だ。
 そうではないかね?

 わしはわしのルールに従う。
 卿は卿のルールに従えばよい」



王太尉不與庾子嵩交,庾卿之不置。王曰:「君不得為爾。」庾曰:「卿自君我,我自卿卿。我自用我法,卿自用卿法。」

王太尉は庾子嵩と交わらず。庾は之を卿すを置かず。王は曰く:「君は為し得ざるのみ」と。庾は曰く:「卿は自ら我を君とす、我れは自ら卿を卿とす。我れ自ら我が法を用う、卿は自ら卿が法を用うべし」と。
(方正20)



放埓な庾敳は、王衍にすら卿呼ばわりなら、そのほかの人間すべても卿だったのかもしれないですね。そして、汝、は使わなかった、とか? つまり、あらゆる人間に対し、等しい距離感をもって接していた、と言った感じ。

そいつを裏付ける資料なんざ存在しねえので、「そうだったら萌える」という事でそう言う方向に妄想を走らせることにした。
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