劉備   劉備あのやろう

文字数 749文字

曹操(そうそう)裴潛(はいせん)に質問した。

「あんた、荊州で劉備(りゅうび)と一緒だったよな。
 なあなあ、アイツの才能ってどうよ?」

裴潛が回答する。

「そうですね、首都辺りにいたら、
 やたら状況を引っ掻き回すでしょうが、
 統治なんてできたもんじゃないでしょう。
 ただ片田舎で、地の利を活かして
 引きこもってきたらヤバいですよ」



曹公問裴潛曰:「卿昔與劉備共在荊州,卿以備才如何?」潛曰:「使居中國,能亂人,不能為治。若乘邊守險,足為一方之主。」

曹公は裴潛に問うて曰く:「卿は昔に劉備と共に荊州に在り。卿は備の才を以て如何?」と。潛は曰く:「中國に居せば人を亂す能うも、治を為す能わず。若し邊に乘じて險を守らば、一方の主と為すに足らん」と。

(識鑒2)



裴潛
割と人格的にはアレだが、えらい勢いで内政的功績をあげまくっている。こういった予言者じみた存在は、時代の解説役として重宝がられる。誰にって? 物語書く、俺らみたいな奴らだよ!

劉備
ここにしかいない。正直曹操のオマケみたいな感じだけど、劉備を目立たせたいんですよ少しでも。いわゆる「(しょく)」の地に拠点を構えた。そこは四方を山に囲まれた、まさに天然の要塞。彼は裴潛の見立て通り、見事に「厄介な片田舎のボス」になりおおせた、というわけだ。


ところで裴潛の息子、裴秀(はいしゅう)が、
一箇所だけいるので一緒に紹介しておく。

人々は言う。

「後の世のトップランナーと言や、
 裴秀だな!」

と。

なお



 諺曰:「後來領袖有裴秀。」
 諺に曰く:「後來の領袖に裴秀有り」と。
(賞譽7)



裴秀
西晋(せいしん)賈南風(かなんふう)の下でずっと胃をキリキリ痛めてた裴頠(はいぎ)の父。司空(しくう)、つまり人臣の極みたる三公にまで上り、晋のルールや、当時ではナンバーワン精度の地図を作った……のだが、五石散(ごせきさん)を服用した後間違えて冷酒を飲んでしまい死亡。そして世説新語にもここにしかいない。
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