王濛11 祖父の追悼文
文字数 403文字
そこにはこうある。
「私とかれの交わりは利害を超え、
心は澄み渡った水のように
あの玄妙なる境地を
共有しておりました」
これを見た、孫の
思わず絶叫している。
「文章は素晴らしい、素晴らしいが、
何だこの不遜極まりない内容は!
我が祖父ともあろうおかたが、
やつとなぞそうも深く
交わろうとするものかよ!」
孫長樂作王長史誄云:「余與夫子,交非勢利,心猶澄水,同此玄味。」王孝伯見曰:「才士不遜,亡祖何至與此人周旋!」
孫長樂は王長史が誄を作して云えらく:「余と夫子、交われるに勢利は非ざれど、心は猶お澄水たれば、此の玄味を同じうす」と。王孝伯は見て曰く:「才士は不遜なり、亡祖と何ぞ此人との周旋を與かるに至らんや!」と。
(輕詆22)
卓越した文人でありながらヘイトため込む系の人、という、孫綽さんも掘り込むと面白そうな人である。だいたい「文章はすごいけどクソ」扱いされてて楽しい。