孔羣2  孔羣は酒キチ

文字数 538文字

孔羣(こうぐん)は酒好きで知られていた。

酒があまり得意ではないし、
主君の元帝(げんてい)さまの飲酒癖に
常々頭を痛めていた王導(おうどう)さまとしては、
飲酒癖が気になって仕方ない。

「そなたは、どうしてそう
 いつも酒を飲んでいるのだ?

 酒場の甕を覆う布が、
 日に日に朽ちていくのを
 知らんわけでもあるまい?」

すると孔羣、言い返すよ。

「何を言っとるのだ、
 肉を糟の中に漬ければ、
 どんどん旨くなるだろう」


後日孔羣は旧知の友人に語っている。

「今年は米がたくさんとれた、
 のだが、俺が飲みたいだけの酒を
 造るには全然足りん」



鴻臚卿孔群好飲酒。王丞相語云:「卿何為恆飲酒?不見酒家覆瓿布,日月糜爛?」群曰:「不爾,不見糟肉,乃更堪久。」群嘗書與親舊:「今年田得七百斛秫米,不了麴糱事。」

鴻臚卿の孔群は飲酒を好む。王丞相は語りて云えらく:「卿は何ぞの為に恆に飲酒せんか? 酒家を覆える瓿布の日月に糜爛せるを見んか?」と。群は曰く:「爾らず。糟肉の乃ち更に久しく堪えたるを見んか?」と。群は嘗て親舊なるに書を與うるらく:「今年の田にて七百斛なる秫米を得たれど、麴糱の事には了らず」と。

(任誕24)



孔羣
蘇峻(そしゅん)の乱に絡んで、もと蘇峻の配下の匡術(きょうじゅつ)にやたらとケンカ吹っ掛けてく人。人としてだいぶアレ。有能ではあったんでしょうけどねえ……。
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