許詢1  許詢と劉惔

文字数 585文字

隠遁文人、許詢(きょじゅん)が母の見送りで
都にまで出てきた。
そこで、劉惔(りゅうたん)と会見。
ここで劉惔、どうも一発で
気に入ってしまったらしい。

「許詢は評判に違わぬ人物でしたか?」

ある人が劉惔に聞くと、

「あの才能、詩情は
 評判を遥かに超えるよ」

そう答えるのだった。


そんな許詢、建康(けんこう)には一ヶ月間の滞在。
その間劉惔、連日訪問する。
やがてため息をつきながら、言う。

「お前が早いところ
 都を去ってくれないから、
 おれはいつまでも
 丹陽尹(たんよういん)の職務に戻れんのだ!」

いやいや、色々おかしいでしょそれ……


やがて許詢が帰ったあとの、ある夜のこと。
その夜は風が爽やか、月は朗らか。

これらの情景を前に、劉惔は言う。

「こんな夜には、許詢を思い出すな」



許玄度送母,始出都,人問劉尹:「玄度定稱所聞不?」劉曰:「才情過於所聞。」
許玄度の母を送るに、始めて都に出づ。人は劉尹に問うらく:「玄度に定めし稱えたるを聞きたる所や不や?」と。劉は曰く:「才情は聞ける所に過ぎたり」と。
(賞譽95)

許玄度停都一月,劉尹無日不往,乃歎曰:「卿復少時不去,我成輕薄京尹!」
許玄度の都に停まること一月なるに、劉尹の往かざる日無し。乃ち歎じて曰く:「卿の復た少しき時にも去らなば、我れ京尹を輕薄せるを成さん!」と。
(寵禮4)

劉尹云:「清風朗月,輒思玄度。」
劉尹は云えらく:「清風朗月たれば、輒ち玄度を思う」と。
(言語73)


劉惔さんベタぼれですやん。
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