王導17 歡極む(意味深)

文字数 1,104文字

許璪(きょそう)顧和(こわ)という、
王導(おうどう)さまの覚えめでたかった二人。

後にそれぞれ高位につく二人は、
王導さまが楊州刺史であった頃には
すでに部下として側にあり、
宴会が開かれれば王導さまに
同席しないこともないほどであった。

さて、王導さまの自宅で開かれた
とある宴会にて
二人の「歓は極まった」。

二人の「歓は極まった」。
大事なことなので。

宴もひとしきり終えたところで、
王導さま、二人を共に寝室に招く。

王導さま、二人を共に寝室に招く。
大事なことなので。

この寝室で、顧和は
しばしば寝返りを打つも、
結局眠れずにいた。

しかし許璪は、グガーグゴーと高いびき。

王導さまも、顧和も、
それ以外の賓客たちも、

「すげえな、良くこいつ
 こんな場所で熟睡できるもんだ」

と感心しきりでした、とさ。


別の日、許璪が顧和の元に訪問。
そのとき顧和は寝室で眠っていた。
なので許璪、枕元に赴き、
そこでしばし語らう。

やがて出かけようぜと言う事になった。
顧和、側仕えに命じ、外出用の服を
持ってこさせる。

それを聞き、許璪が笑うのだ。

「なんでまた寝間着と外着なんぞを
 使い分ける必要があるのだ?」

いやいや使い分けましょうよ……。



許侍中、顧司空、俱作丞相從事。爾時已被遇。遊宴集聚、略無不同。嘗夜、至丞相許、戲二人歡極。丞相便命使入己帳眠。顧至曉回轉、不得快孰。許上床、便咍臺大鼾。丞相、顧、諸客曰:「此中亦難得眠處。」
許侍中と顧司空は俱に丞相が從事を作す。爾の時、已にして遇せるを被る。遊宴に聚の集うに、略ぼ同じくせざる無し。嘗て夜、丞相が許に至りて戲れ、二人が歡は極まる。丞相は便ち己が帳に入りて眠らしめんと命ず。顧は曉の至るまで回轉し、快孰を得ず。許は床に上りて便ち咍臺と大鼾す。丞相と顧と諸客は曰く「此の中にては亦た眠れるを得難き處なり」と。
(雅量16)

許文思往顧和許,顧先在帳中眠。許至,便徑就床角枕共語。既而喚顧共行,顧乃命左右取枕上新衣,易己體上所著。許笑曰:「卿乃復有行來衣乎?」
許文思は顧和が許に往き、顧は先に帳中に在りて眠る。許の至れるに、便ち徑ちに床の角枕に就きて共に語る。既にして而して顧に共に行かんと喚ばば、顧は乃ち左右取に命じ枕に新衣を上げ、己が體上に著くる所を易う。許は笑いて曰く:「卿は乃ち復た行來の衣を有したらんや?」と。
(排調20)



許璪・顧和
顧和はちらほら出てくるのだが、許璪はここにしか出て来ない。あれかね、「ここからが本番なのに気付かず寝ちゃった」からあんまり厚遇されなかったのかね。「ここからが本番なのに」。大事なことなので。

この時代、男同士で寝所を共にすることは良くあったらしいですね。アッー案件なのかそうでないのかは、まあどっちでもいいか。
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