第126話 なぜ。どうしてなの

文字数 659文字

 定期検診にはまだ日があるが眼科の検診終えた。 
栄養も考えて、睡眠も十分とった。目に負担をかけないように活字も追わず、パソコンも
蓋した。最小限のことだけをして、後は静かに目を閉じていた。
全神経を注いで、万全を期して翌日免許センターへ向かった。
 0.1に届かない左目もなんとかクリアして辛うじて合格した。あの祈る心を忘れて合格したら
そら当たり前の気持ちになっていた。人間の驕りは恐ろしいものだ。

 免許証と一緒に一枚の書を渡された。何とそこには「優良運転者とは異なることとなりました」
この処分に不服のある時は三か月以内に再審査請求ができる。と記入してあった。
 免許証を急いで開けた先刻までゴールドだった免許証はブルーに変わっていた。6月に受けた
検査は自己採点しても90点は下らない筈だったのに。その上に過去3年間、無事故、無違反で
優良運転手だった筈。どうしてなの、なぜこうなったの?
 左目の弱視か、高齢のせいか。今更意義の申立てはしない。そんなことをすると藪蛇になり
下手をすると、取り消されるかもしれない。
ゴールドはくれなかったがブルーの帯の免許証を複雑な思いで見ている。
 CoCo壱両日の緊張と成れの果てにどっと疲れた。落ちるところまで落ちたら、後は上がるしかない。じくじくするのは今夜でおしまいにしよう。明日のことは明日考えよう。
 明日が来たら、必ず明日の日は昇るから。
 
 落ち込んでから数日が過ぎた。
 使用することはないであろう免許証は、昔の通りカバンの中に収まっている。
 紅葉のニュースが流れ出した。さてどうする。




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