第27話 後いくつ

文字数 387文字

 ケアハウスへ荷物を入れた。
大した荷造りもせず、大きな袋にどんどん詰めた。
泣いても、笑っても後3日で第三の人生が始まる。

 人の生涯なんて最後のコーナーを廻って見なければ
何とも言えない。コーナーのそのあとで転ぶこともあるから、
死んでしまわなければ、その人の人生は語れない。気がする。

 遠くへ行くのでもないし、これが最後ということもないのに
夜は駄目と断ったら、毎日誰かとランチしている。
折角、減量に成功しかけたのに、如何ともせんである。

 形見にプレゼントしようと綿入れ半纏を今縫っている。
こうして手製の半纏をずっと弟に贈ってきた。
生き残りは弟と二人になった。目も悪いし、思うように進ま
ないので、入所までにできるか、少し不安である。

 心の中を風が吹き抜けてゆく。野分けと言えば少しオーバー?
し残したことがあるようで、ないようで?

 「あといくつ寝るとお正月」あの頃はよかったなー。
 
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