第33話 名月は満月

文字数 443文字

 9月21日は陰暦の8月15日。
中秋の名月と満月が重なるのは八年ぶりであるとか。
「明日は曇っていて月が見えないかも知れないので今夜見ておきな」
月に2回会う、トランプの会のリィダーから連絡が来た。そうだ去年も
「火星が最も近づき大きく見えるよ」と教えてくれたのが10月1日だった。
どうして覚えているかって?88歳の誕生日で旅先で空を仰いだから。
 歳を重ねると一年経つのが早いこと。何もかもコロナの所為にして、
過ぎ去った一年。

 引き越したばかりの終の住処の窓を開けた。月はすでに昇っていた。
空は澄み切っていて、月の色は冴えているがうさぎは見えない。右側に見えた
から南だろう。金星が、群を抜いて輝いている。宵の明星といって子供の時か
ら、なじみ深い星である。
 
 1日早いお月見がはじまる。
 団子はないが、入り口の花入れを窓辺の机の上に持ってきた。
吾亦紅とススキとネコジャラシイが一緒にお月見をしている。静かな夜だ。
平和を享受できる普通の暮らしに感謝しよう。

 深夜再び月を見た。名月は天空にあった。


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