第18話 CORONA

文字数 458文字

 鰻登りに増えて行く東京のコロナの上昇。
20代、30代の若者が多いと報道されるたび、
孫たちは大丈夫かと、案じていた。

「母さん、びっくりせられんでよ。○○がコロナにかかった」
「ええー、どうしよう」
「かかったら、どうしようもないわ」
「それ見い小笠原なんぞに行かすからだ」
「旅行ではないの、会社の上司が罹り、発熱して
検査したら陽性だつだと言うこと」
しかし、発熱ぐらいで、入院はできないし、
冷やして解熱剤を飲むしか方がないという。

 孫は部屋に篭りきりで、トイレは別、食事は使い捨ての
器に入れて廊下に置き、娘と顔を合わすこともないらしい。

 家族は全員濃厚接触者。検査は私費。陰性であったが、2週間
外出もできないし、出勤も不可。陰の漂う家で立ち往生しているという。
「もう堪らんわ」
「冷凍にしたら送れるから、何でも送るよ」
「考えて電話するからその時は頼みます」

 コロナが迫ってくるのを実感として今、捉えている。
祈っても叶わないから祈らないことにしていたのに、
久しぶりに祈った。
 孫の快癒と世界のコロナの終息をただ祈るばかりである。



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