第24話 未練でしょうか

文字数 280文字

 思い起こしてみるとこの2年の間。
残った者の好みに沿うて庭の木は、ほとんど切った。
リホームも済ませた。
もうすることがなくなったのだ。
どうしても心残りで切れない小さい木は鉢に移して、
水やりをくれぐれも頼んだ。

 春が来れば小鳥も来て遊ぶこともあった狭庭の木。
息子があれも花もいらないと言う。   息子にしたら、
根じめの小さい季節の野草は、全て雑草である。
 価値観のちがいは親子であっても、いかにせん。
明日のために買ってきた除草剤を見て慄いている。

 私の心の葛藤を知らない筧の水は、
我関せずと、今も時を刻んでいる。

 未練でしょうか。
坪庭に後ろ髪を引かれる思いである。


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