第113話 過ぎたるは

文字数 562文字

 昨年、簡易局の奥さんより頂いた花の木。名無しだったが「数珠珊瑚」と分かった。
11年ごろから紅い実を次々につけ季節が過ぎても葉も紅葉せず迎春。
お正月の花に勝るとも劣らなず、小さい部屋を賑わしてくれた。
 朝日の当たる窓辺に置いて毎日褒めちぎっていた。
手荒く動かすと紅い実が待っていたようにパラパラと降るので大事に扱った。
紅葉が始まったようだが、それは美しくない。

 その内どうしたのか世の中は立つ春というのに木に元気がなくなってゆく。
過保護かと気がついてベランダに出すことにした。
紅い実は一斉に落ちた。拾い集めて鉢に蒔いた。芽を出してくれ、祈る思いで。

 造り込んだようによい形をしているから、剪定するところがない。
切るのが惜しい。葉は紅葉の時期を逸して色付かずに枯れた。
枯れた葉を1枚、1枚手で落とした。
裸木になっなた数珠珊瑚は春の日を浴びて、ようやく元気をと振り戻した。

 自然に逆らって素人が、紅い実を愛で続けた結果、木は寒さも知らず
実を落とす時期も逸してしまったのだ。新芽を出すだろうか?不安である。
他の草木に10日余りも遅れて、今やっと新しい芽が出揃うた。

 鉢が小さいので木はそんなに大きくはならないだろう。
はやく、葉の成長することを願いながら、水やりを済ました。
水をあげるという人もいるけど、私は水やりである。4月10日




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