第83話 さだめ

文字数 601文字

 柳生博が逝った。
芸能界、司会者、声優として活躍した感じの良い
青年は初老となり、都会を離れ自然の草木の中で暮らし
始めた。日本独自の和暦で暮らそうの提言には興味があった。
自然を読み続けた俳人、山歴の青柳志解樹も八ヶ岳へ帰って、昨年
逝った。柳生博も八ヶ岳の自然の中で暮らしていると承知して
いた。数年前、八ヶ岳に旅した時、そうだ、この辺りで柳生博は
老後を満喫しているのだなぁと思った。
八ヶ岳はいいところだ。緩やかな丘が波打つように流れていてる
野辺山高原。そこをJR小梅線が走っている。日本で一番高い
ところを走るというので、野辺山と清里の間を乗ったことが
あったなぁ。蕎麦は美味しいしいが、そのまま、忘れていた。
しかし、老衰で逝ったというニュースに、
ああ無常、おどろ、おどろしている。
85歳になると、持病がなければ老衰になるのか。

 ちょっと待って、私は老衰年齢を優に越えている。
人の命に限らず、形あるもの命あるものは明日のことは
わからない。いつか訪れるだろうけど山の彼方だと思って
いた。それは若さだったのだ。何があっても、さだめだと
諦観しているが、今、少なからず動揺している。

 八十路に入ってから終活だと、いろいろ整理したけど、80
歳はまだ若かった。傘寿では侘しくて終活できないだろう。

 そうだねー。此岸と彼岸を日和見しているようなものだから。

 太陽の季節だ。緑が溢れている。
 マイナスイオンの下で少しは歩こう。

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