第91話 線状降水帯

文字数 692文字

 短い梅雨が明けたというのにこれは何ということだろ。
日本列島のどこかは、線状降水帯に覆われたとかで雨が
降りまくっている。降雨の表現まで新語が生まれるのか、
昔からそんな言葉があったのか浅学のわたしにはわからない。
せいぜい「暴れ梅雨」と言って表現していたように記憶している。
 ますます現代に疎く、パソコンにしても、機嫌を損ねると、
処置なしである。00はxxを☆☆する。意味以前に単語が
理解できないのである。タブレットで行間を縮めようとして苦闘。
パソコンでは可能でもタブレットではできない。
何と言ってもこの頭脳、応用が効かない。年は取りたくないものである。
愚痴になったか、脱線しそうだ。

 氷河が溶けたことで地球上の水の配分が変わり、温暖化は地軸の動きを
加速しているらしい。このところの線状降水帯とやらは気候の変動により
起きたものだろう。
 今朝の朝、、雲は夏の雲だが、台風一過のような風が吹き、風鈴の
えもいえぬ音色が、時の移ろいを告げる錯覚を覚えた。
窓をすべてオープンにした。吹き抜ける風の爽やかなこと。
窓辺の草花に水をあげるとは言わない。水をやる。葉を震わせている。
ホッとした安堵が伝わるようだ。家族だからわかるの。
「おはよう。今日も元気で」
 故郷の山は遠く霞んで何も見えないが、手前の中津峯山だろうか、
霧がたちとぼり山がぽっかり浮いて見える。

 ベランダの柏葉の紫陽花の木で蝉が鳴き出した。涼やかでない声は
なぜこんなところへと、驚いている。
 風も生ぬるくなり、屋上からの照りも強くなった。
 爽やかな朝の刻に感謝しながら窓を閉める。蝉は去った。

  ああ、今日も一日クーラーに助けられて暮らす。













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