第30話 立ち止まれば

文字数 338文字

 入所して、早やというか、まだというか5日が過ぎた。
息子が迎えにきて家に帰った。
今が夢か、昨日までが夢か?どちらも現実である。
「帰るのなら早く帰りな」
「いいや帰らない」やっぱり家の方が良いと思っている
が、素直でないから、家が良いとはいえない。
 
 一夜が明けた。
早朝、山裾を散策した。水引き草、露草、芒の穂(縞萱)
吾亦紅、根じめに要の赤い葉を大きな壺に活けた。
玄関はすっかり秋の装いになった。
 
 昼は、久しぶりに田舎寿司をつくり弟を呼んだ。
こうして食事に人を呼んでいると、つい先ごろ、解散
したばかりの木曜会のメーバーを思い出す。
 あの顔、この顔、個々に会うことはあっても会として
一堂に会す事はもうない。
 思い出に生きる暮らしから、明日の夢は生まれない。
 新しい何かに挑戦しよう。


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