第98話 最優秀賞に思う

文字数 760文字

 鳴り物入りの懸賞、最優秀賞を先入観無しに読むことにした。
挿絵はまさに諏訪神社の前。冬男は木造家屋の並ぶ、あの細い道を
歩いているいるのだなぁ。あんみつ屋に入り、怨憎煮を食べる。
 そこで夏女は、昔語りを始めた。餅をついている碓にカマキリが
飛び込んできて、カマキリの原型がなくなるまで杵を振り上げ続けた。

 すると日陰の鼓動がつられて激しく聞こえた?
これは近くで解体工事をしている工事の音か?この辺りから理解ができないまま、
何度も立ち止まり読み進めた。が、意表を突く発想の転換について行けず、
池の中の蛙は泳ぐことも忘れていた。

 そこで初めて4人の最終選考の審査評に目を通した。そうか。そういうことか。
浅学をこの日ほど感じたことはなかった。とうてい私にはついて行けない
道程だと悟った。
 過去に一度だけこの企画に投稿したことがある。後になって思ったことだが、
私を含めたその他大勢は、題名と始めの5行、あわよくば2ページで進退(吉凶)
が決まるのではあるまいか?おもしろくも、可笑しくもない原稿を最後まで読んで
くれたとは、とうてい思えない。漢字を二つ三つ覚えた小学生が大学生に挑むよう
なもの。お笑いにもならない。身の程を知った今年の大賞であった。
 願わくは、群を抜いた一握りの天井人だけで無しに、諸人にも愛し親しめる
大賞であって欲しい。

 私には、遠い世界のこと。どうでもいいじゃないか。 
ショート、ショートで楽しもう。今野敏の犯人を追う小説がちょうど良い。
それも目がつかれて一気には読破できなくなっている。

 主催の新聞の編集長が「読み進めるのに難渋した。活字の深い森に迷い混み、
右へ行っていいのか、左へゆくべきか、未だに抜け出せていない。まだ25歳
の筆者の力が並外れていることの現れでもあろう」

 この文言に気を良くして、救われている。
















ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み