第61話 ふるさと(3)

文字数 357文字

 桃咲き桜散る頃には、谷川の水も緩みせせらぎの音も増して
88夜を迎える。この日菩提寺では甘茶のお接待があり祖母と出かけた。

 苗代を作るため、村は総出て川の大掃除をした。佐那河内米と行って
お殿さまに献上したほどの良質のお米が取れる小さい村だ。でぶ?多分
出夫といって水の利用価値の大小に関わらず、みんなで点検をして皆で
水を引いた。各家に苗代を作った。命の次に米が大切な時代だった。

 作った米は、戦時中は供出米として強制的に召され、平時は、年貢米
として差し出し、ほとんどの村人は貧しい暮らしをしていた。私の幼少
時も、米飯を食べた記憶は数えるほどだった。現金に代わるものが、
ほとんどない生活?貧しかったのだろう。それでも隣組は助け合い、
葬祭はお大師講が中心になって滞りなく進めていた。



 無意識に共存の心が培われさのだろう。
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