第124話 遂に夏は果てた

文字数 591文字

 じゃんけんほい。の仲間のリーダーのN女史に誘われて、
所を撰ばずで、お付き合いの軽い気持ちでHデイケアへ通っている。
女史はここでも優等生で幼児体操もクイズも真剣に同調する。
年齢は上でも子分である身は、全て右へ倣えである。
女史の休んでいる日は、なんと無しに中弛みのような気分になり、
場の雰囲気もたるんでいるような気がする。それは矢張り存在感か。
 週一のデイケアセンターの日は生活のリズムの中に溶け込んでいて、
不思議なことにデイの日を待っている気もするこの頃である。
 欲は食欲だけになって久しい昨日、今日。
ここでは、馳走とは程遠いが、栄養士がついて計算された食事が出る。が、
家で取る昼食は、もっと、簡単なカロリーも栄養も無視したものだ。

 最近、じゃんけんぽんの仲間が四人揃って机を囲んでいる。
勝ち負けは別にして、それがまた楽しい。女史の家で遊ぶように
大きな声は出さない。遠慮しているがそれでも楽しい。
ハッハッハと口先だけで笑うのであるが、
気がつくと、心の濁りが消えている。
 
 昼間はまだ暑いが天空は既に秋。
入道雲が完全に姿を消した。青い空に動くともなく浮かんでいる白い雲に
時の流れを感じている。彼岸も過ぎた。遂に夏は果てたか。
 昨夜はクーラーも扇風機も点けずに就寝した。なんか月目だろう。
 満月と中秋の名月が重なった1日遅れの名残りの月も丸かった。
 そして、雲を避けるようにして昇った。




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