第75話 赤い手袋

文字数 176文字

寒いさむい朝だった
少女の手は氷のようだった
洗濯をしていた
霜焼けが悴んだ手にできた。
 
粉雪ちらずく朝だった
少女は手に息を吹きかけながら
洗濯をしていた
霜焼けの手は裂けていた。

凍てつく正月の朝
少女は赤い手袋を穿いていた
隣のおばさんがくれた手袋
おばさんはいい人だった。

せせらぎの温む朝
少女の霜焼けは癒えていた
手の甲にケロイドが残った
生きた証だと今も撫でている。



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