第64話 食中毒

文字数 716文字

 週2回来てくれているおばちゃんに
「今日は私が作ったけんお昼たべて帰って」
山海の珍味とはいかんが、色々ならねべて二人で食べた。
一人より遥かに楽しく、美味しかった。夕餉は残りもので
済ませた。
 七時ごろから気分が悪くなった…ヒーターと炬燵で温か
すぎたのかと、炬燵から出た。立ち上がった途端ムッとした。
胃の腑が痛み強烈な吐き気に襲われ、とうとう嘔吐した。

 キリキリと胃の腑が痛い。主治医に電話したら当院では検査
できないので、救急車を呼んで大きいところへ行ったら……。
 
 夜8時不安になって息子を呼んだ。息子は主治医と話し、とりあ
えず吐き気止めと、痛み止めを処方して貰って飲んでいる。
吐き気も痛みもすっかり、おさまったけど体の芯が柔軟になった
感じで、ふらふらとしっかりしない。

 電話だけで医師の診断を仰いでいない。食中毒とは自己診断している
だけである。昨夜は37・4度の熱が出た…今朝は、36・6度になっていた。

 これで熱でも上がったら怪しくなる。息子も弟もしばらく家には来ぬ 
ように電話しておいた。娘から電話があった。
「遠いところにおる子は急いで何の役に立たんわ」
「ほんまに役立たんで済まないけど様子は連絡してね」
ああしろ、こうしろと注意事項を並べたので、そら2階から目薬よと言った。

 業者に踊らされてといいながら、日本中、今日は恵方巻きを楽しんでいる
というのに、私はお粥を食している。

 起床して着替えをしたら、体に芯が通ったような気がする。
「病は気から」というが、今日はぼーっと、しようと炬燵に入った。
 テレビは石原慎太郎の在りし日を放映している。私と同じ歳だ。
何かが心の中を吹き抜けてへゆく。
 私は石原慎太郎という政治家が好きだった。


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