第121話 梅雨は明けた

文字数 569文字

 暑い、熱いと梅雨明けを待った。
今年のような梅雨は初めてだ。ナガセといって
湿っぽいところには、カビが生えたものだが
今年は雨もないので、からから。
早く来い土用。21日梅雨明けが報じられた。
さすが土用の空は青く、入道雲が現れた。
入道雲から活力を貰った気がした。

 ベランダで育てているミニトマトも最盛期が過ぎ
だんだん粒が小さくなり収穫ができなくなった。
 疲れ果てたトマトの枝に蝉が来た
ちょうどペンを持っていたから、謡の通り書いた。
みんみん、ミンミン、ミンミン、……、シーシーシー……から
声が小さくなって、ミーミーミー……
また声が大きくなって、みんみん、ミンミンミン……。
聞き入っているとチチチ、チチチの声が混じる。
何というセミだろう。聞いたことのある声だ?
蝉は飛び立っても、チチチ、チチチは鳴いている?
 何あらん冷蔵庫の警告音であった。
時間があるというのは、こんな馬鹿げたことでも、
一瞬集中する。これも生きている証と苦笑いしている。

 マンションの裏に木の茂ったお宅があり、朝早くから
蝉の声がする。玄関のドアを開けると蝉の合唱が一段と
迫ってくる気がする。
見る限りこの辺であまり木を見ないので、裏の木はこの辺りの蝉の
集会所になっているのかも知れない。
 蝉の生涯を思うと無常がつのる。

 天上は果てしない東は晴天。西空には今日も入道雲が出た。7/24日









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