第8章 - 3 1980年 五月三日 土曜日(9)
文字数 419文字
3 1980年 五月三日 土曜日(9)
扉が一気に開いて、そこに翔太が立っていた。
病室の視線が一斉に集まり、彼はそんな視線を黙ったままで受け止める。それから扉がバタンと閉まったところで、やっと静かに声にした。
「あの、実は今、確認してみたんですけど……」
その瞬間、達哉も千尋も迂闊なことは言えないと、声を出さずに同時に思う。
――いったい何をよ!?
そんな二人の見つめる前で、翔太はまさみの前までゆっくり進み、
「これ、見てもらえますか?」
そう声にして、いきなりその場にしゃがみ込んだ。
そうしてさっきと同様靴を脱ぎ、さらに靴下にも手を掛ける。
――今さらなに?
そんな顔して千尋が見つめ、達哉も息を潜めて見守り続けた。
すると突然、それはあまりに唐突だった。
まさみが急に立ち上がり、〝つんざく〟ような雄叫びを上げる。
「わー」なのか、「ぎゃー」だったのか、判別できない叫びを発し、そのまま翔太へ飛び掛かるようにして掴み掛かった。
扉が一気に開いて、そこに翔太が立っていた。
病室の視線が一斉に集まり、彼はそんな視線を黙ったままで受け止める。それから扉がバタンと閉まったところで、やっと静かに声にした。
「あの、実は今、確認してみたんですけど……」
その瞬間、達哉も千尋も迂闊なことは言えないと、声を出さずに同時に思う。
――いったい何をよ!?
そんな二人の見つめる前で、翔太はまさみの前までゆっくり進み、
「これ、見てもらえますか?」
そう声にして、いきなりその場にしゃがみ込んだ。
そうしてさっきと同様靴を脱ぎ、さらに靴下にも手を掛ける。
――今さらなに?
そんな顔して千尋が見つめ、達哉も息を潜めて見守り続けた。
すると突然、それはあまりに唐突だった。
まさみが急に立ち上がり、〝つんざく〟ような雄叫びを上げる。
「わー」なのか、「ぎゃー」だったのか、判別できない叫びを発し、そのまま翔太へ飛び掛かるようにして掴み掛かった。