第3章 - 1 捜索 1979年(2)
文字数 1,070文字
1 捜索 1979年(2)
ただとにかく、達哉が翔太を見つけ出し、手を打ってしまえば未来だって変わるだろうし、山代もきっと死ぬことなしに借金を返していくことになる。
――絶対に、そうして見せるぞ!
そんな決意を心に思い、彼はそこから再び駅に戻って電車に乗った。
四つめの駅で降り、記憶を頼りに駅前を歩いてみると、「DEZOLVE」はあっという間に見つかった。
後はとにかく、天野翔太と知り合いになることだ。
店は十九時からだから、まもなく看板に明かりが灯る。
そうなったらさっさと店に入って、なんでもいいから言葉を掛ける。そうして何度か通っていれば、すぐに友達ってくらいにはなれるだろう。
そう思っていたのだが、店に入ってみると翔太がどこにもいなかった。憎っくき山代だけがカウンターに立っていて、達哉はウイスキーのロックを注文し、チビチビやりながら待つことにする。
――うえ! まじい!
実際、ウイスキーのロックはキツすぎるのだ。
高校の頃、コップに注いではみたものの、匂いを嗅いだってくらいでヘキヘキしたのを覚えている。だからしまいっ放しにしていたヤツを、両親どちらかが見つけ出して大騒ぎとなった。
煙草にしたってだ。
吸うのは仲間といる時くらい。立て続けに吸うと、決まって気分が悪くなるから、フカしてばかりってのが本当なのだ。
ただとにかく、今は煙草なんて吸いたかないし、酒もどちらかといえば焼酎派だ。
こんなのもあっちの時代の影響だろうし、なんにしたって生き返ったんだから、感謝すべきは間違いない。
そんなことを考えながら、あっという間に一時間近くが経過する。
もしかしたら、今日は休みなのか? そんな可能性も充分あるし、であれば待っているだけ無駄骨だ。また明日にでも来てみようとさっさと決めて、彼は会計を済ませてから店を出た。
階段を上がり、駅に向かって歩き出す。
すると遠くの方から、妙にのっぽの男が走ってくるのが目に入るのだ。
――あれって、まさか!?
周りの人から頭ひとつ分は背が高い。
あっという間に達哉の横を通り過ぎ、そのままバーへの階段入り口に入っていった。
慌てて階段上まで戻ってみると、既に〝のっぽ〟の姿は見えなくて、それでも声だけが上の方まで響き聞こえた。
「すみません! 遅くなりました!」
なんて声が聞こえて、慌てて時計を見れば、八時をちょっと回ったところだ。
――よし、明日は八時に来てみよう!
そう思った通りに、翔太の出勤は午後八時から。それから月曜日の定休日を跨いで、三日連続で店に顔を出したのだった。
ただとにかく、達哉が翔太を見つけ出し、手を打ってしまえば未来だって変わるだろうし、山代もきっと死ぬことなしに借金を返していくことになる。
――絶対に、そうして見せるぞ!
そんな決意を心に思い、彼はそこから再び駅に戻って電車に乗った。
四つめの駅で降り、記憶を頼りに駅前を歩いてみると、「DEZOLVE」はあっという間に見つかった。
後はとにかく、天野翔太と知り合いになることだ。
店は十九時からだから、まもなく看板に明かりが灯る。
そうなったらさっさと店に入って、なんでもいいから言葉を掛ける。そうして何度か通っていれば、すぐに友達ってくらいにはなれるだろう。
そう思っていたのだが、店に入ってみると翔太がどこにもいなかった。憎っくき山代だけがカウンターに立っていて、達哉はウイスキーのロックを注文し、チビチビやりながら待つことにする。
――うえ! まじい!
実際、ウイスキーのロックはキツすぎるのだ。
高校の頃、コップに注いではみたものの、匂いを嗅いだってくらいでヘキヘキしたのを覚えている。だからしまいっ放しにしていたヤツを、両親どちらかが見つけ出して大騒ぎとなった。
煙草にしたってだ。
吸うのは仲間といる時くらい。立て続けに吸うと、決まって気分が悪くなるから、フカしてばかりってのが本当なのだ。
ただとにかく、今は煙草なんて吸いたかないし、酒もどちらかといえば焼酎派だ。
こんなのもあっちの時代の影響だろうし、なんにしたって生き返ったんだから、感謝すべきは間違いない。
そんなことを考えながら、あっという間に一時間近くが経過する。
もしかしたら、今日は休みなのか? そんな可能性も充分あるし、であれば待っているだけ無駄骨だ。また明日にでも来てみようとさっさと決めて、彼は会計を済ませてから店を出た。
階段を上がり、駅に向かって歩き出す。
すると遠くの方から、妙にのっぽの男が走ってくるのが目に入るのだ。
――あれって、まさか!?
周りの人から頭ひとつ分は背が高い。
あっという間に達哉の横を通り過ぎ、そのままバーへの階段入り口に入っていった。
慌てて階段上まで戻ってみると、既に〝のっぽ〟の姿は見えなくて、それでも声だけが上の方まで響き聞こえた。
「すみません! 遅くなりました!」
なんて声が聞こえて、慌てて時計を見れば、八時をちょっと回ったところだ。
――よし、明日は八時に来てみよう!
そう思った通りに、翔太の出勤は午後八時から。それから月曜日の定休日を跨いで、三日連続で店に顔を出したのだった。