第1章 - 4 真実(3)
文字数 578文字
4 真実(3)
「わたしの元夫ってね、医者、というか、大学病院の研究員だったのね……」
そこで再び翔太を見据え、だから結婚した頃は、いろんなウンチクを暇さえあれば聞かされたんだと続け、ほんの少しだけ口角を上げた。
「一応ね、血液が専門だったから。短い結婚生活だったけど、わたしもその辺に関しては医者並ってくらいに詳しいわ」
B型とO型の両親からは、決してA型、AB型の子供は生まれない。
「ごめんなさい。でも、これって、本当のことなのよ」
黙り込んでしまった翔太に向けて、彼女は言い方を変え、それが真実なんだと訴えた。
「もし、ご両親の血液型に間違いがないならば……きっと、ご両親のどちらかが、違うってことなんだと思うわ……」
――もしもそれが、父親の方だったなら?
そう考えるだけで可笑しくて、なぜだか涙が溢れ出た。
大声出して笑っていたが、目から涙が次から次へと流れ出る。
何をどう考えようが、そう思うしかないからだ。
借金も、殺人犯という濡れ衣も、すべてが意味ないものだった。
――あいつが父じゃないのなら、俺はいったい、なんのために……?
悔しくて、情けないほど腹が立ったが、今となってはどうしようもなかった。
だからさっさと忘れてしまって、残り少ない時間を、楽しいものにしていきたい。
翔太は無理矢理そう考えて、血液型の話を頭の隅へと追いやったのだ。
「わたしの元夫ってね、医者、というか、大学病院の研究員だったのね……」
そこで再び翔太を見据え、だから結婚した頃は、いろんなウンチクを暇さえあれば聞かされたんだと続け、ほんの少しだけ口角を上げた。
「一応ね、血液が専門だったから。短い結婚生活だったけど、わたしもその辺に関しては医者並ってくらいに詳しいわ」
B型とO型の両親からは、決してA型、AB型の子供は生まれない。
「ごめんなさい。でも、これって、本当のことなのよ」
黙り込んでしまった翔太に向けて、彼女は言い方を変え、それが真実なんだと訴えた。
「もし、ご両親の血液型に間違いがないならば……きっと、ご両親のどちらかが、違うってことなんだと思うわ……」
――もしもそれが、父親の方だったなら?
そう考えるだけで可笑しくて、なぜだか涙が溢れ出た。
大声出して笑っていたが、目から涙が次から次へと流れ出る。
何をどう考えようが、そう思うしかないからだ。
借金も、殺人犯という濡れ衣も、すべてが意味ないものだった。
――あいつが父じゃないのなら、俺はいったい、なんのために……?
悔しくて、情けないほど腹が立ったが、今となってはどうしようもなかった。
だからさっさと忘れてしまって、残り少ない時間を、楽しいものにしていきたい。
翔太は無理矢理そう考えて、血液型の話を頭の隅へと追いやったのだ。