第2章 – 家族(4)

文字数 1,357文字

 家族(4)



 それから......どのくらいの時間が経ったのか? 

 ふと、階段から響くスリッパの音で目が覚める。

 そんな音は玄関まで続き、

 やがて、ドアの開閉の音となって消えるのだった。 

 きっと武が腹を空かせて、コンビニへでも向かったのだろう。

 順一が時計を見ると、既に午前零時を回ろうとしている。

 少なくとも彼はソファで、4時間も寝てしまっていたのだ。
 
 それにしても……こんな時間に食べたりするから、

 ぶくぶくと太っていくんだ……。

 そうしてますます、女の子との会話からは遠ざかる。

 そう思うと、我が子ながら不憫さが込み上げ、

 小言を言わなくて良かったなどと思うのだった。

 そしてふと、もう唯は帰ってきたのだろうかと思いながら、

 順一は眠い目を擦り玄関へと向かう。

 しかし彼の脱ぎ散らかした革靴が、ポツンと淋しそうに残っているだけ。

 きっと佐和子は前もって唯に、

 今晩は実家へ泊まると伝えてあるのだろう。 

 それを聞いて、唯はこれ幸いと誰かの家へと泊まりに行った……。

 親が心配するほど、子供はいい加減なことをしていないものだ。

 順一は多少の強引さと共にそう思うことにして、

 風呂も入らずに蒲団の中へと潜り込むのだった。

 順一が寝息を立て始めてから、さらに1時間くらいが経過した頃、

 真夜中とは思えぬ賑やかな街の一角で、

 ひとり少女が巨漢の男を相手にしていた。

 男は黒髪ではあったが、その体躯、肌の色から明らかに東洋系ではなく、

 粗野な野獣の匂いをぷんぷんさせている。

 そこは西麻布にあるマンションの一室で、筋肉の塊のような男の上で、

 白い人形のような裸体が揺れ動いている。

 その腕や脚はあまりにか細く、今にも折れてしまいそうで頼りない。

 しかし一方でその乳房の大きさだけで見れば、

 充分男の欲望に対抗しうる印象なのであった。

 少女はベッドに横たわる男へと己を押しつけ、

 腰を前後左右へと振りしごいている。

 そんな動きに合わせて、

 不釣り合いなほどに大きい乳房も左右へと揺れていた。

 それまで一度も口を開こうとしなかった男の吐息が、

 やがて少しだけ荒くなる。

 すると彼はおもむろに腰を浮かせ、

 少女を何度も何度も天井へと突き上げるのだった。

 小さな喘ぎ声を上げていた少女は、

 そこから一気に狂乱を思わせる仕草を見せ始める。

 幼そうな外見からは決して計り知れない、

 それは女としての手馴れを思わせるものだった。

 それからさらに20分ほどして、

 少女の肉体をさまざまな体位で攻め立てた男は、

 果てぬままに少女を己自身から突き放した。

 涙目のまま驚いた顔を見せる少女をそのままにして、

 傍らにあるソファへと何事か声を掛ける。

 するとそこに座っていた金髪の男が、

 待ってましたとばかりに服を脱ぎ出すのだった。

 金髪は黒髪とは違って、いくぶん優しげな印象を感じさせはしたが、

 やはりその体躯からして、欧米人特有の逞しさすべてを持ち合わせている。

 あっという間にそそり立つものを露わにし、

 少女の身体に覆い被さるのだ。

 少女は冷たい金髪男の両腕に抱かれ、一時不安そうな顔つきとなる。

 しかし数分もすると再び、見事なまでの喜びの声を響かせたのである。
 
 そんな声は何度かの休憩を挟み、

 辺りが白み始めるまで続くのであった。
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