第5章 – 崩壊(7)

文字数 901文字

 崩壊(7)



 少女がそこを訪れるのは、この日ですでに三度目だった。

 部屋に入って10分も経たないうちに、彼女は服を脱がされ、

 金髪の方の、だらしなく下を向いたものを口に含まされる。

 そんなものが口の中で脈打ち、

 徐々にその存在感を増していくに従い、

 少女は嬉しそうに喉を鳴らしていたのであった。

 きっと今夜も夜が明けるまで、陶酔の時を過ごすことができる。

 そんなことを思うだけで、少女はその喜びに打ち震えていた。

 しかし残念ながら、今度ばかりはそうはならない。

 少女は自ら身体をくねらせ、男を己の中へと導き入れようとしていた。

 するとそれまで薄暗かった部屋に、いきなり眩いライトが照らされる。

 驚いて振り返る少女の目に、

 白い光の奥に立つ、見知った男の姿が映り込んだ。

 それもやはり外人ではあるが、その肌の色からすれば、

 明らかに金髪とは別の人種であろう。

 とにかくそんな黒髪の巨漢が、

 いつの間にか少女のうしろに立っていたのだ。

 ビデオ!? 

 即座に浮かんだ言葉通りに、その筋肉の固まりのような巨漢は、

 ビデカメラを構え少女の裸体へと向けている。

「やめて!」
 
 何をするの!?

 続いての言葉は声にはならない。

 少女は慌ててカメラの方へと行きかけた。

 すると、金髪の男が少女の尻を後ろから抱え、

 そして軽々と持ち上げたのだ。

 尻を掴まれ、逆さまにされた少女は、思わず足をバタつかせる。

 すると運悪く、少女の右足が金髪の耳元を直撃してしまうのだ。

 その瞬間、白い顔が一気に強ばり、
 少女の身体をベットへ勢いよく叩きつける。

 驚いている少女の顔を、

 彼女の倍はありそうな掌で、何度も殴りつけるのだった。

 もしも黒髪からの制止がなかったら、

 きっと少女の顔は見るも無残なものへと変貌していただろう。

 しかし巨漢からの声によって、

 金髪の男も本来の目的を思い出すことができたのだ。
 
 一方、少女はというと、それ以降......思念そのものが、

 崩壊してしまったようになる。

 決して気を失ってはいなかった。

 しかし予想していなかった突然の恐怖に、本来あるべき少女の思念は、

 一向に目を覚ますことがないままだった。
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