第108話

文字数 892文字

あたしは男を見た。

「パンツ脱いで」

「それは恥ずかしい……」

「いいから早く」

あたしは逡巡した。しかし、これもまたやらざるを得ないのだろうと思った。あたしは下着を脱いで、おまるを跨いだ。

「子どものころ、僕もおまるを使ってたよ。君は?」

「覚えてない」

「使ってたさ。どう? おまるを卒業できない気分は」

いま誰があたしを座らせてるんだ? 普段も好きで使ってるんじゃないぞ。こういう言葉が喉まで込みあげてきた。しかし、ぐっと堪える。

「しかしエロいよなあ。このギャップ。幼児が使うものに大人の身体した女が座ってる」

男は半ば感慨深げに、半ば嬉しそうに言った。

いろんな性癖があるんだな、と思った。そして、(たが)が外れれば、剥き出しの欲求を少女にでもぶつけるんだ、とも思った。

「もういいですか」

あたしは腰を浮かせた。

「まだだよ。座って」

あたしは男に聞こえないくらいのため息を吐いて、また腰を下ろした。

「君、美脚だね。スタイルもいい」

男は上下ともに服を脱ぎ始めた。ずっとこちらを見ているようだった。あたしは男を正面から見なかったけれども、目の端に男の顔が白く映っていた。

裸になった男のペニスは勃起していた。男は無言でそれを刺激し始めた。

「見て」

静かな、しかし底に力のこもった声だった。男はペニスを握り、上下に忙しく動かしていた。

あたしは気恥ずかしく、男の顔に目をやった。男はじっとあたしを見ている。見つめ合うのも、また気恥ずかしい。目のやり場に困った。

「見てって」

しかたなく、あたしは男のペニスを見た。ペニスは空中に固定されていて、手だけが目にも()まらない速さで規則運動をしているように見えた。

「あんなに擦って痛くないのか」

気味の悪い空間で、あたしは自分の境遇にそぐわない感想を抱いたりした。

男は不意に近付いてきた。

「たくましいだろ」

男は身体をそらせてペニスを突き出した。あたしは無視した。

「たくましいだろ。たくましいだろ。どうだ」

男は腰を振りながら、射精した。

「んー、んーっ」

男は呻いた。飛び出した精液のほとんどはあたしの身体にかかった。男は膝を突いて、あたしの太もものうえに落ちた精液にペニスを擦り付けた。

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