152. 偽脳味噌のレシピ

文字数 326文字

 マイルドでクリーミーな質感が、脳味噌料理の美点だという。

 偽脳味噌料理は、そんな質感を再現する。
 残り物のかゆ、玉ねぎ、ハーブ、小麦粉、卵を混ぜ合わせてパテにして炒めるらしい。

 脳味噌さえ買えなかった、古き時代の知恵だ。

 ノーズ・トゥ・テイルを受け入れる度量が、わたし達にあるだろうか?

 飢饉が押し寄せた時、わたし達はにこにこと、脳味噌を炒め、心臓に齧りつき、口蓋を丁寧に擦ってキレイにするだろうか?
 始終もったいないと他者を非難する小奇麗な方々は、流水で何度も脳味噌を洗い、血や皮膚を取り除く覚悟があるだろうか?

 穢れはすべてカーテンの奥に。
 知らなければ、どんな罪や責任にも苛まれない。

 目を閉じて、耳を覆って生きていこう!
 私達は、常に正しい!
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