219. 機能① 羽技法選手権

文字数 546文字

 ラブカが三叉の歯を見せびらかしながら、

「虫歯防止に、羽根は欠かせない。羽楊枝のくすぐりは麻薬のようだね」

 白兎がつんと鼻を立てながら、

「おしろいをまぶすのに、羽骨パフが欠かせませんわ」

 カイツブリが水面に嘴をつっこみながら、

「胃の中で魚の骨が刺さると、イー! ってなるよね。羽食べて護らなくちゃ!」

 19世紀の生徒が教師にガンをつけながら、

「割れちまったぜ……おい先公、ちとこのペンナイフ使ってよ、オレの羽ペン、直してくれよ……」

 21世紀の発明家集団が子供のように目を輝かせながら、

「羽で車が動く日が来るかもしれない! 羽製プラスチック、羽製空気洗浄機、羽製電子回路基盤! 羽を知れば知るほど、枯れない金鉱と思い知らされるね!」

 そうして野生の鳥を獲り尽くし、絶滅したら枯れたと笑い、次は海か宇宙かと目を血走らせるのでしょう?

 オオウミガラスの惨殺・絶滅を嘆くヒトがいる。
 どうでもいいヒトもいる。

 ヒトの罪を贖う為に絶滅動物の種の復活を望むヒトと、絶滅動物復活の為の母体として酷使される近縁種の個の尊厳を護りたいヒトが存在する。

 葛藤の末に、ヒトは、どんな未来を選ぶのだろうか?

 ヒトという個は存在しない。
 個と種を同一視すべきではない。

 葛藤の末に、私は、どんな未来を選ぶのだろうか?
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