163. オーストラリアの内陸海

文字数 298文字

 (たらい)のような船やカヌーを、馬で運ぶ。
 砂漠を貫く雄大な河に浮かべて、入植者は夢を追って進む。

「河を辿れば、水源に巡り合うだろう。その水源から、また別の河が流れ出ているだろう。美しい湖が(たた)えているかもしれない」

 緑の楽園が目に浮かぶ。

 肥沃な大地に種を()こう。河から水を引き、大地を潤そう。収穫したたわわな作物は、船に山と載せて、本国まで輸送しよう。

 濃緑色の大地で、子ども達がはしゃいでいる。
 貧民街で身を寄せ合い、世界を恨みながら生きるのはもう仕舞いだ。

 人を、自然を愛して、私は生きていく。

 オーストラリアの砂漠地帯に、豊かな水系を描いた偽りの地図には、どんな思いが込められていたのだろうか?
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