268. オレ様は博識! 勇敢! 謙虚! 代議士だからな! 従え! ……従う?

文字数 645文字


 鳥の王・シムルグが全鳥類を集めた。

「失敗した……もっとヒトの頭のうえに糞を落とすべきだった……」

 王は素直に自分の瑕疵(かし)を認め、ヒトの模型に糞を発射する。
 鳥たちは嬉々として後に続いた。
 ハシビロコウだって、あの真面目顔で、くるっぽーと鼻頭に的中させた。

 青い鳥の王がエレベーターに乗った。
 下に参ります。青い鳥の王と従業員たちは次々と天井に頭をぶつける。

 従業員の一羽が、ひそひそ声で同僚に話した。

「みろよ……あれ、俺らの王だぜ!」

 王が振り向く。

「その通り、僕が王さ! この押し潰される感覚が大好きでね! 君は何Gまで体験した?」

 CEO・ミソサザイは夜な夜な数百個の空き缶を漁った。
 翌朝、コウノトリ、梟、雀が職場に飛んでくると、空き缶がピラミッド状に積まれている。

「栄光に到達する、君たちの翼が見える」

 プロジェクト半ばで多忙を極めていた鳥たちは、CEOが自分たちの努力を評価していたと、はじめて理解した。
 ただの詐欺師ではなかった。

 コウノトリはミソサザイをゆるした。

 2016年のLRN「HOW報告書」によると、リーダーへの信頼が厚い従業員による下記確率は、

 会社に有益なリスクをとる:32倍
 高度なイノベーションを生む:11倍
 同業他社の従業員より業務が優れる:6倍

 32倍、11倍、6倍、それぞれ高くなっているという。

 信頼されたければ、政治家と真逆のことをすればいい。

 失敗を認め、誠実に行動し、鳥類性を包み隠さない。
 さあ、脱糞しよう!

 脱税じゃないよ。間違えないでね?
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