95. 共感覚法

文字数 172文字


 蛙が鳴く。大きな音が響く。巨躯の声は森中に響いた。
「げこげこげこ」

 獅子は震えあがる。よほどの傑物に違いない。静かな足取りで泉に近づくと、蛙が飛び出した。
「げこげこげこ」

 辺りを跳び撥ねまわる。見ているだけで(やかま)しい。重い腐臭が漂い、切り裂く味が全身を突き抜ける。
「げこげこげこ」

 獅子がうっかり歩くと、蛙は潰れてしまった。
「なんだ。声だけか」
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