34. 層積雲

文字数 215文字


 綿飴が空を舞台に、踊っていた。
 出演者は殺到し、空は白いふわふわで埋め尽くされた。

 隙間から僅かに青が覗けたが、ハープの音色響けば、綿飴は規則正しく整列し、(うね)のように波打つ。
 波がぷつりぷつりと切れ、猫の引っ掻き傷のように、放射線状に並んでいく。
 マシンガンで撃ち抜かれたように、蜂の巣状になる。

 不透明から半透明へ、目に見えぬ粒になりて、綿飴は空の向こうに消えた。

 私たちは変わってゆく。
 善悪を求めるのは、私たちの脳だけだ。
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