81. 賭けの数式

文字数 521文字


 P(本命の勝率) = (1 + αx^β)^(-1)

 ※xはオッズ(賭け金に対しての(もう)け)、α、βはパラメータ(調整値)

 兎(本命)と亀(穴)が競走を始めた。
 猫の胴元は本命のオッズを1/50とし、真のオッズを1/100と考え、儲けようとしていた。

 騾馬(らば)はお金が必要だった。若いころ、遊び過ぎたようだ。借金で首が回らなくなり、皮にされそうだった。
 全財産を亀に賭けた。

 狐は数字が好きだった。Python3でスクレイピングし、過去の競争結果とオッズを一覧化した。賭けの数式で勝率を算出し、猫に対する優位性を探った。
 ちょっとずつ兎に賭けた。

 熊(本命)と犬(穴)の相撲では、熊に賭けた。
 (わに)(本命)と虎(穴)の狩りでは、虎に賭けた
 (ふくろう)(本命)と松(穴)のポージング対決では、梟に賭けた。

 数式で見えた優位性は三パーセント。
 一年で3万6500回ほど賭けた頃には、利益は57000倍に膨れ上がっていた。

 狐は新たな優位性や数式の可能性を求め続けた。
 だって、好きだったから。

 猫?
 そこそこ儲けた。これだから胴元は止められないそうだ。

 騾馬?
 とっくの昔に、皮だった。

 あなたは誰になりたい?
 ……わたしは、河馬(かば)になって、川岸で水浴びしたい。
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