144. 選ぶ③ 選抜

文字数 527文字

 世界中から基準が集まり、パーティを開いた。

 特に大きな勢力は、「消極的」だった。

 親の指示。
 上司の命令。
 社会的に人気。
 将来役立つから。
 嫌われたくないから。
 みんなやっているから。

 彼らはホールの中央を占拠し、自分たちこそが主役と言わんばかりに、バカでかい声で笑ったり給仕係を奴隷のように扱ったりした。

 残りの基準「積極的」は、端のほうで(くつろ)ぎ、中央の基準を憐れみながら、給仕係と笑い合っていた。

 自分の仕事だから。
 好きで得意で役立つから。
 それしかない、絶対的な確信。

 パーティはお開きになり、基準は主のもとに帰っていく。
 千鳥足は「消極的」ばかりだ。

 あなたが出迎える基準は、どちらだろう?

 自分にとって些末な9割の出来事に「まあいいか」と安請け合いする消極的な基準か、自分にとって大事と明言できる1割の出来事だけに「それだ!」と返事する積極的な基準か。

 よく眠り、孤独に考え、積極的な基準で選抜する。
 自ら選ばなければ、誰かの操り人形のまま、一生を終えるだけだ。

 操り人形は悪くない。
 小難しく考えなくていいし、命令されただけと無責任でいられるし、最低限生きられる。

 糸が切られた途端、悪態をつき、想定外と泣き叫ぶと、情けなく見えるけれど。
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