69. 正しさの証明
文字数 280文字
「138億年回以上誕生日を迎えた老星は見当たらない」
「望遠鏡をのぞいた先は、定常ではなく、歴史のように多彩に変化している」
「世界の大半は単純だ。そんな暇なかったから」
ブラックスワンは未だ見つからない。
誰かの目に止まらないことが、存在しないことの証明にはならない。
いつ崩れ落ちるともしれない橋の上を、子どもたちは駆けていく。
突風が吹くたびに補強し、谷底に落ちても新しい橋を建て直す。真実の大地に辿り着いた途端、足元がかき消えたとしても、歩を弱めることはない。
真実は、それほどまでに甘美な汁か。
せめてどろどろと甘ったるい蜜に呑み込まれないように、祈る。