211. 進化① 羽とは

文字数 648文字

 (えり)に立ち並ぶ熊である。

 風切羽、正羽、半綿羽、綿羽、剛毛羽、糸状羽、フキナガシフウチョウの万国旗のような吹き流しも、熊たちから生まれた。

 襟は熊生成装置だ。
 シロクマ、ツキノワグマ、グリズリー、ジャイアントパンダ、ナマケグマ、アライグマが、襟それぞれの地点から生まれる。

 アライグマはいつ追い出されるか、地味に怯えていた。

【万国旗】
 シロクマは無限に襟から生まれ、崖に落ちた五人組アイドルグループが生き残ろうと梯子のように繋がるみたいに、縦に連なる。
 ツキノワグマ、グリズリー、ジャイアントパンダも連続で出現し、シロクマと四匹、肩を組んだ。

 連続出現すれば、旗となる。
 止めれば、シロクマだけ、ただの羽軸だ。

【半綿羽】
 シロクマは無限に襟から生まれ、ロケット鉛筆みたいに縦に連なる。
 ジャイアントパンダが生まれ、二つに裂けた。

 一つはグリズリーと、もう一方はナマケグマと握手する。
 グリズリーはツキノワグマ、ナマケグマはアライグマと握手する。
 ツキノワグマはシロクマの左手、アライグマはシロクマの右手と握手する。

 握手すれば羽枝(うし)が羽軸の左右に伸び、休憩中ならただの羽軸だ。

【正羽】
 半綿羽の羽枝から半羽枝が伸びると正羽になる。
 半羽枝は、握手の前に、グリズリーとナマケグマだけが大量生産されるとうまくいく。

 皮膚の窪地、羽嚢(うのう)の中に襟は備わっていた。
 鳥だけの発明、羽は、羽嚢という新規性から進化を遂げていく。

 リズムよく生まれ踊る熊たちに感謝を。
 羽の多彩さに驚嘆を。

 アライグマだって、熊さ。
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