126. リコーダーの共鳴

文字数 415文字


 ストローに息を吹き込んでも、息の音しかしない。
 器が共鳴しなければならない。

 カルマン渦の発生条件を確認しよう。

 一定風向の持続。
 風を遮る障害物。
 逆転層と層積雲。

 障害物に遮られた風が回り込んで渦巻き、鉛直対流が起こりづらい逆転層内で層積雲が風に従い、風下側に二列の渦が連なって見える。

 カルマン渦で歌う楽器が、リコーダーだ。

 一定風向の持続。息を吹き込め。
 風を遮る障害物。エッジ。(くわ)える部位(唄口(うたぐち))の先、筒に傾く。
 逆転層と層積雲。筒は大気擾乱のように乱れない。白くなくとも、渦はできる。

 渦が空気を振動し、音が増幅する。
 器が共鳴し、口腔(こうこう)が音色に味を差す。

 素朴で懐かしい音が立つ。

 音楽の先生、小言を赦して欲しい。
 もし、もしも貴方がリコーダーの授業で、リコーダーの音色はカルマン渦の音色、雲の渦の歌声と教えてくれたなら。

 機械的な指の上げ下げと、勘違いせずに済んだかもしれない。

 それとも、意味不明と一蹴したかな?
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