179. ハーペトガスター・コリンサイ

文字数 285文字

 ある日、胃が思った。
 口から餌待つの、飽きたわ。

 自分の生き死にが、自分以外に委ねられているなんて、まじ最悪。
 そんなわけで、胃は這い回り始めた。

 胃の尻から茎が伸びる。先端は丸まり、海底で留まるのに便利な錨だ。
 胃の口から触手が伸びる。海藻みたいに伸びて枝分かれし、さながらフラクタル構造、獲物を捕まえる表面積は最大だ。

 一説では、それが陸棲化し、ツチノコになったという。
 賛同者は現状いない。

 ツチノコはともかく、這い回る胃は化石にくっきりと残っていた。
 歩くサボテン、本物の一反木綿、ヒト、這い回る胃、果たしてどの生き物が、この世で最も奇妙な生き物なのだろうか?
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