71. 潦

文字数 162文字


 庭先に雨が降った。
 乱層雲が強風に千切れ、雲間から夏の日差しが差し込む。

 水浸しの敷石が光り、軒先から落ちる水滴を浴びている。
 木の葉が雨水に歓喜し、(にわたずみ)が残された悲哀を溜めている。
 洗い立ての大気は甘露の味がした。

 雨の香りがする。
 光の色が見える。
 石穿つ声がする。

 例えばそういうものを、無邪気に愛せる自分でありたい。
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