262. 23歳の壁を越えると、そこは「う門には福来る」だった

文字数 770文字


 来年の事を言えば鬼がう
 いは百薬の長
 止千万

 23歳児のあなたは何をしている(いた)だろう?
 一年で何回笑う(った)?

 先輩に叱られた後、転職サイトに登録した。
 アルバイトに精を出すも、ふと未来の深淵を覗いて泣けた。
 三年後の倒産率5割を「他は他」と一蹴して24時間365日働く。

 まるで仕事は悲劇のような書きっぷりだ。

 二つの企業を紹介しよう。

 好みに合わせて自分らしく陽気に働け、それを奨励さえしている企業。

 企業理念「AGILITY」を看板にした。出来た看板は「AGLITITY」だった。共同創業者はそのまま掲示する――曰く、ちいさなミスには拘らない。
 便器の前にパターマットを設置したり、オフィスの壁を白いキャンパスとして社員に提供したり――ある社員は壁をくり抜き、眺めを楽しんだ。

 しかめっ面でノルマと上司の顔色ばかり(うかが)い、心理的安全性がない企業。

 無機質な机と椅子が延々並び、慰めのようにフェイクグリーンの鉢植えが置かれている。社員は全員親の仇のようにパソコンを(にら)み、タイピング音だけを響かせる。
 些細なミスで怒声が飛ぶから、皆おどおどと肩を(すく)める。

 どちらの企業で働きたい?
 どちらの企業が、より創造性溢れると思う?

 23歳を境に、一日に笑う回数は激減するという。
 まるで気になる異性にせっかく告白されたのに、袖にするみたいだ。

 笑う門には福来る。
 幸福を望むなら告白は承諾するし、もちろんにっこりと笑うでしょう?

 笑わないなんて、ハシビロコウかっての。
 笑えないならクオッカに弟子入りして、睡眠中でもニコニコ笑えるようになり給え。

 どんな悲劇に(さいな)まれたとしても、前向きな何かを見つけられる人だけが生き残る。

 なお、ハシビロコウはあまり動かないらしいが笑わないとは思わない。
 寝ているクオッカは身が引き裂かれるほどカワイイ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み