125. バイオリンの共鳴

文字数 222文字


 弦の振動だけでは、音は小さいままだ。
 器が共鳴しなければならない。

 バイオリンの弦が振動する。
 共鳴胴(ボディ)に立つ(ブリッジ)、弦を張る駒が垂直に振動する。

 振動は共鳴胴に伝わり――瓢箪(ひょうたん)を縦に割った断面のような共鳴胴の表板が振動する。表板と裏板に挟まれた魂柱(こんちゅう)が振動を始め、裏板まで振動し、全体が振動する。

 華やかな高音が踊り出す。

 宿りし魂が震える。
 共振を促す。共鳴を望む。同じ熱が沸き立つ。

 やがて膨れ上がった感情に、飾り立てる言葉は要らない。
 美しい。
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