205. 地質時代の酸素濃度

文字数 736文字

 三億年前の酸素濃度をいかに推定するか?
 タイムマシンに乗って試験管に大気を詰められれば理想的だが、あいにく、タイムマシンは開発されていない。

 いま、ここで、使えるものを使うほかない。

【材料】
 過去を遡っても、燃焼の原理は変わらないこと。
 各時代から採れた石炭。

【酸素濃度と燃焼の原理】
 16パーセント未満→燃えない
 18パーセントまで→発火すれど、燃えない

 21パーセントまで→まあ燃える
 30パーセントまで→湿った植物も燃える
 31パーセント以上→濡れた植物も燃える

【石炭ができるまで】
 死した植物が腐敗し、湿った環境で堆積すると、泥炭となる。

 泥炭地で火事が発生すれば、木炭が生じる。
 湿った環境だとしても、酸素濃度さえ高ければ、燃焼物がある限り燃え続けるだろう。

 木炭を含む泥炭地はいずれ地中に飲みこまれ、圧縮・高熱を経て石炭となる。

【総括】
 石炭には木炭化石が含まれ、その含有量は、地質時代によって異なる。

 木炭化石が多い。
 →湿っていてもよく燃えたはず
 →酸素濃度が高かった

 木炭化石の含有量は、酸素濃度の代替指標ということ?

【成果】
 錯覚で見える急勾配を一歩ずつ登ると、ついに視界が開けた。
 なだらかな稜線を進む。

 切り立った崖に飛び込み、お団子みたいに丸くなって三十回以上前転する。
 再びの上り坂で、勢いは一気に萎えた。

 山と谷をジグザグと登っては降りる。
 高低差に息は上がるばかりだ。

 高原で一休み。
 レジャーシートの四隅に荷物を置いて。

 体重を後ろに預けながら、ゆるゆると麓に降りていく。

 酸素濃度が麓より高度を下げる地点は、四億年前のデボン紀中期と、ペルム紀末の大量絶滅後以外にはなかった。

【教訓】
 地球は四億年近く、燃え続けていた。
 撲滅できると?
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