266. 鳥類初公開! YES! 読むだけで君も一垢分コメディアン! YES!
文字数 1,094文字
「99%は、語り口が物を言う」
口下手の私はブラウザを閉じました。
そして二度と笑うことなく、独り寂しくその生涯を終えるのでした……。
復活した!
けれど第二の人生も口下手だった私は、犬、ラッコ、パンダにかわいい戦争を仕掛けるべく、思い切って「ハシビロコウ爆笑研修会」に参加しました。
午後の部の開始です。
ネガティブ禁断症状中ですので(どうして文章にユーモアが必要なの? 笑うのも笑わせようとするのもしんどいよ)、簡単に説明します。
多くの冗談は、設定とオチに分けられます。
設定が状況や事実、オチがミスディレクションの末の驚きですね。
より適切な冗談の為には、以下の要素を組み込みましょう。
「誇張」
「対比」
「具体性」
「比喩」
「3のルール」
実際に冗談を披露する際のポイントは、
「持ちネタ」
「いまここ」
「コールバック」
「99%は語り口」
とのことです。
本参考文献より上手く説明できないので、細かくは自腹で読んでください。
何か質問は?
ありませんね、では解散。
隣席のハシビロコウが抗議しました。
「金返せ! これじゃ『確定申告です♡』って税務署に全財産収めたほうがまだましだ!」
後ろの席のハシビロコウも憤慨しました。
「その説明の為にお金を出したんだよ? キング牧師を見習えとは言わないからさ……ねえ? ほら、日本の総理大臣くらいでいいからさ……」
一番後ろの席のハシビロコウは飛び立ちました。
「2時間も時間を無駄にした。5分でわかるシリーズ24回分だ。人工知能と浮力の原理と入試とハンドガンとダイヤ改正とリスティング広告と日本の歴史と教育厚生会とインボイス制度と経済基礎とクッション役と標的型攻撃と……その倍のことが理解できなかった!」
モデルのように足が細いハシビロコウはぷいと嘴をそらしました。
「あなたの説明は、まるで裏金議員ね。知っているのに知らんぷりして、説明責任を他者に押しつける」
壁際に立っていたハシビロコウは講師に三つ尋ねました。
「訴えていいですか? 罵っていいですか? キスして、いいですか?」
一目惚れだったという。
それ以後の荒れ果てた研修会――持ちネタやコールバックに関する説明要求は、クラッタリングで実施された。
「だだだだだだだだだだだ!」
「だだだだだ、ダダダダダダダダダダダダ!」
かくして結納の日取りが決定し、みんな幸せな気持ちで研修会場を後にした。
残念ながらかわいい動物人気ランキングに変動はなく、大半のヒトがやっぱり犬がいいと言っていたという。
尚、私は、アノマロカリス・カナデンシス派です。
アノマロカリス類アムプレクトベルアも捨てがたいけど。